20220110

2022年1月10日
 曇時々晴。6℃~10℃。


 阿部和重『シンセミア Ⅰ』80p。田宮家の歴史 第一部 自殺・事故死・行方不明。山形の片田舎、神町。田宮家と麻生家。自分の地元とかぶる要素多い。

 アメリカ人たちが去ったあとも、神町の秩序を守るという建前を彼らは掲げ、裏に回って住民の「浄化」を実施し続けた。それは自警団的な治安維持活動でもあり、左翼運動への抑圧でもあり、他所者に対する嫌がらせでもあり、商売敵の排除でもあった。(29p)

 塩野七生『男たちへ フツウの男をフツウでない男にするための54章』116p。塩野七生は学生時代に「ローマ人の物語」か何かを1冊読んだくらい。40年という時間の経過を感じる。同調できないことが多い。





20220109

2022年1月9日
 晴後曇。0℃~14℃。


 『日本の歴史 第5巻 新視点中世史 躍動する中世』読了。第六章 政治と文化のかかわり 王権と文化統治 皇統の分裂と文化 室町殿の統一王権 重層化する列島の社会 第七章 中世の環境と社会の変化 気候変動から時代を探る 郷民の村とその景観 宗教都市と山岳寺院 列島の各地での戦乱 戦国期の文化 おわりに。

 順徳天皇「禁秘抄」。勅撰和歌集。ローマン・フロリダ海退、ポスト・ローマン海進、ロットネスト海進、パリア海退、中世海進。

列島の社会の100年ごとの変化
古代Ⅰ 668(天智七)年 天智天皇即位 律令国家の形成
    766(天平神護二)年 道鏡法王 律令国家のゆらぎ
古代Ⅱ 866(貞観八)年 摂政藤原良房 前期摂関政治
    967(康保四)年 関白藤原実頼 後期摂関政治の開始
中世Ⅰ 1068(治暦四)年 後三条天皇即位 延久の国政改革
    1167(仁安二)年 平清盛太政大臣 平氏~鎌倉の武家政権
中世Ⅱ 1268(文永五)年 蒙古の国書到来 東アジア世界の流動
    1368(応安元)年 応安の半済令 公武統一政権の成立
近世Ⅰ 1467(応仁元)年 応仁の乱の開始 戦国時代の到来
    1568(永禄十一)年 織田信長の上洛 統一政権の成立
近世Ⅱ 1667(寛文七)年 東・西廻り海運の完成 幕藩体制の確立
    1767(明和四)年 田沼政治の展開 近代国家の胎動
近代  1868(明治元)年 明治維新 近代国家の成立
    1968(昭和四十三)年 学生運動・公害 国民国家のゆらぎ





20220108

2022年1月8日
 晴時々曇。2℃~10℃。


 『ユリシーズ Ⅱ』読了。13 ナウシカア。ブルームの回想と妄想。男に都合のいい展開。解説 永川玲二「ダブリン気質」。エッセイ 三浦雅士「ジェイムズ・ジョイスとタロットカード」。

 その結果、古代末期のアイルランドとヨーロッパ大陸との出会いという画期的な歴史劇は、軍隊ではなく宣教師の渡来とともに幕をひらく。これはやがてユーラシアの東の果ての日本へと古代中国やヨーロッパの宗教文化がつたわる過程にそっくりだが、世界史のなかではどちらもごく例外的なケースである。離れ小島ならではの大きな幸運というべきか。(「ダブリン気質」 682p)

 たとえばタロットカードの人気が一貫して衰えないのは、そこに叙事詩の秘密が隠されているからだ。シェーネはそう言っているのだ。占い師は一連の寓意画から人生の物語を生み出す。カードすなわち絵を読むことで、人間の運命すなわち文学を語る。エリオット風に言えばこれこそ古典主義的なのです。奇妙奇天烈と思われるかもしれないけれど、これは漫画やアニメの手法に近似している。(「ジェイムズ・ジョイスとタロットカード」 719p)

 たとえば中国の歴史は反復以外の何ものでもない。というより、正統な歴史というものは前代を反復するものだという牢固たる観念が中国にはあって、範例に沿って歴史を書いていたのである。事件だって、そういうふうに配列していたのだ。(中略) 歴史は直線的なんていう観念は、それこそ近代もここ数百年の話にすぎないのである。(同上 723p)

 『日本の歴史 第5巻 新視点中世史 躍動する中世』258p。第五章 列島を翔る人々。町と祭り。京の有徳人と祇園祭。博多の町と祇園山笠。諸国に生まれる府中。列島の身体。蒙古の襲来。一体化する日本の国土観。行基図。アイヌの人々の動き。琉球に誕生した王権。モノとヒトの交流。大陸から流入したもの。大量の銭の流通。大陸伝来の技術。



 

20220107

2022年1月7日
 晴。朝は路面凍結。‐2℃~9℃。


 『ユリシーズ Ⅱ』434p。12 キュクロプス 13 ナウシカア。キアナンの酒場。「市民」というあだ名の男。ブルームはいろいろ余計なことを言って「市民」の機嫌を損ね、缶を投げつけられる。少女ガーティ・マクダウエルとブルーム。単語の羅列がすごい。

 ―おれたちは、力に対するに力をもってしようってわけよ、と市民は言う。海の向うにはもっと大きなアイルランドがあらあね。黒い四七年に故郷から追い出されたんだ。(367p)



 

 

 

20220106

2022年1月6日
 曇後雪。午後雪。3㎝くらい積もる。夜にはやむ。0℃~3℃。


 『ユリシーズ Ⅱ』278p。11 セイレン。父ディーダラスたちの歌合戦。ブルームの下衆びた欲望。

 ―何調だね?シャープが六つくらいかい?
 ―嬰へ長調、とベン・ドラードは言った。(258p)

 『日本の歴史 第5巻 新視点中世史 躍動する中世』223p。第五章 列島を翔す人々。職人と京童と。「石山寺縁起絵巻」。女性の職人。職人と天皇の支配権。


 

20220105

2022年1月5日
 晴。2℃~9℃。


 『ユリシーズ Ⅱ』220p。11 セイレン。オーモンドホテルのバー。女給2人。ブルームは脂ぎったおっさん。父ディーダラスがピアノを弾く。洒落者のボイラン。

 二輪馬車ジングル、チンクルと走った。(219p)

 『日本の歴史 第5巻 新視点中世史 躍動する中世』200p。第四章 中世の生活と宗教。身体に即した住居。方丈の庵から。医者と養生。仏教信仰の展開。生身の仏たち。念仏の勧め。鎌倉をめざす動き。一遍とともに。踊り念仏の始まり。踊る宗教と絵巻という方法。踊る宗教への批判。

 家のつくりやうは、夏をむねとすべし。(『徒然草』五五段 162p)

 京から下ってきた後深草院二条はその日記「とはずがたり」で、京と違って鎌倉では人々の住まいが谷の奥までぎっしりと詰まっているのを見て、息がつまるようだと、記している。しかしこの谷こそが新たな精神文化を育てる場となった。谷の地は、修行と信仰の二つをともに求める新たな信仰の場として絶好であって、谷の奥には、修行・瞑想の場となり、時に葬送の場ともなったやぐら(岩窟)が設けられた。(180p)



20220104

2022年1月4日
 晴。1℃~13℃。


 『ユリシーズ Ⅱ』183p。10 さまよう岩々。ディーダラス親子。父サイモン、息子スティーヴン、はしっこい妹のディリー。アイルランド総督、ダドリー伯爵ウィリアム・ハンブル。

20220103

2022年1月3日
 晴。2℃~11℃。


 『日本の歴史 第5巻 新視点中世史 躍動する中世』152p。第三章 政治の型の創出。武家の政治運営。執権体制の成立。幕府官僚制の成立。神仏と政治。源氏と鶴岡八幡宮。

 評定が幕府の公式の会議として整備されるなかで、寄合という内々の会議が生まれるという政治の運営のあり方は、まさに現代につながるものがあろう。(132p)

 

20220102

2022年1月2日
 晴。2℃~8℃。

 
 『日本の歴史 第5巻 新視点中世史 躍動する中世』126p。第三章 政治の型の創出。専制と合議。武家政権の論理。院政という専制政治。武家権門の地位の確立。

 中世の政治の始まりについては諸説があり、かつては鎌倉幕府の成立に求める見解が強かったが、最近の定説は、摂関を外戚としていない後三条天皇の登場とともに、王権の強化の始まった治暦四年(一〇六八)とする見解である。(106p)

 『ユリシーズ Ⅱ』140p。10 さまよう岩々。様々な市民。ジョン・コンミー神父。話としてはわかりにくい。逆柱いみりの「道楽者の海」みたいな感じか。

 マッコイはテンプル・バー通りで待っているあいだに、バナナの皮をそっと押しのけ、道から溝のなかに落した。暗くなって酔っ払いでも歩いて来たらあっというまにすってんどう、したたか痛い目に会うよ。(132p)


 





 

20220101

2022年1月1日 年始
 晴。体感的に今季一番の寒さ。0℃~8℃。

 
 『ユリシーズ Ⅱ』96p。9 スキュレとカリュブディス。スティーヴンのマニアックなハムレット解釈の続き。

 あらゆる人生は多くの日々です。明けては暮れる日々です。ぼくらは自分の内部を通り抜けるとき、泥棒や、亡霊や、巨人や、老人や、若者や、人妻や、色事仲間やに出会うのですが、しかしいつだって自分自身に出会っているんだ。(84p)
 


20211231

2021年12月31日
 晴時々曇。昼間雪ちらつく。1℃~7℃。


 『ユリシーズ Ⅱ』52p。9 スキュレとカリュブディス。スティーヴンは図書館で独自のハムレット論を開陳。よくわからない。飲み屋で某大学生が議論のための議論をするような感じか。バック・マリガン再登場。

 ゆうべは、ダブリンで、ある女優が四百八回目のハムレットを演じたそうだけど。ヴァイニングはハムレット王子が女だったという説を立てたね。(48p)

 

 

20211230

2021年12月30日
 晴。2℃~15℃。


 『新樹の言葉』読了。「誰も知らぬ」。

 『日本の歴史 第5巻 新視点中世史 躍動する中世』104p。第二章 境界から中央へ、中央から境界へ。考古学的中世。ウヂからイエへ。琉球と平泉の世界。都市の原型。

 大名田堵の農業経営が持続性に乏しかったことは、伊賀国や大和国で幅広く農業経営を行なっていた藤原実遠が、広範に田屋を構えて人民を駆使していたにもかかわらず、その経営が次代に継承されていなかったことからもわかる。経済的繁栄と没落を特徴とする長者伝説がこの時期に多くみえるのも、その点を裏付けていよう。(61p)

 こうしてウヂからイエという動きが武士に及んでいったことで、財産や家業が子へと継承されてゆくイエの社会制度は確立していった。さらに、広く地方の武士の家の成立を決定的にさせたのが、平治の乱で東国に配流された義朝の子頼朝が、鎌倉を根拠地として東国の武士を結集して幕府政権を築いたことである。(75p)


 

20211229

2021年12月29日
 曇時々晴。2℃~9℃。


 『新樹の言葉』383p。「俗天使」「兄たち」「老ハイデルベルヒ」(再読)。

 あのころの事は、これから五、六年経って、もすこし落ちつけるようになったら、たんねんに、ゆっくり書いてみるつもりである。「人間失格」という題にするつもりである。(「俗天使」 339p)

 『日本の歴史 第5巻 新視点中世史 躍動する中世』58p。第一章 日本列島に広がる歌と人。中世文化と信仰の枠組み。神仏習合の思想。浄土への憧れ。信仰を求める旅。

 これらの国々でとくに注目されるのは、西夏・遼・金の三国がそれぞれに西夏文字・契丹文字・女真文字などの独自の文字を使っていたことで、それぞれの国に応じて「国風」文化への取り組みのあったことがうかがえる。(46p)





 

20211228

2021年12月28日
 晴。0℃~9℃。


 『新樹の言葉』334p。「春の盗賊」。話芸の極致。

 行動は、つねに破綻の形式を執る。かならず一方に於いて、間抜けている。完璧は、静止の形として、発見されることが多い。それとも目にとまらぬ早さで走るか、そのいずれかである。(305p)

 『日本の歴史 第5巻 新視点中世史 躍動する中世』43p。第一章 日本列島に広がる歌と人。京に集まる諸国の物産。開発領主の風貌。

 このような体制、すなわち荘園的土地所有と国衙的土地所有の複合とその下に私的領有を内包する重層的土地所有の体制を荘園公領制と称している。(43p)


20211227

2021年12月27日
 晴。‐1℃~8℃。


 『新樹の言葉』282p。「八十八夜」「美少女」。

 五味文彦『日本の歴史 第5巻 新視点中世史 躍動する中世』33p。第一章 日本列島に広がる歌と人 歌の時代 京童と御霊会。京童の登場。国土に活動する人々。

 人は時代に規制されていても、歴史を知ることによって時代を超えることができる。時代から多くのものを受け取り、そこから新たな力を身につけることも可能なのである。(13p)

 祇園精舎のうしろには よもよも知られぬ杉立てり
 昔より 山の根なれば生ひたるか杉 神のしるしと見せんとて
                    (「梁塵秘抄」二五五番 20p)

 

20211226

2021年12月26日
 晴時々曇。北の風。冬型。2℃~8℃。


 『新樹の言葉』243p。「火の鳥」。未完。三島感。

 




 
 

20211225

2021年12月25日
 雨後晴。北の風やや強い。5℃~14℃。


 『悪魔の詩 下』読了。Ⅸ 魔法のランプ。サラディンは父チャンガスの死を看取る。サラディンとジブリ―ルの結末。

 それから突然にしてチャンガス・チャムチャラワは自分の顔を伏せた。彼はまだ生きてはいたものの、どこか別の場所に行ってしまい、自分の内面に顔を向けて、そこで見るべきものを眺め続けているようであった。彼は私に死に方を教えてくれているのだ、とサラーウッディーンは考えた。(318p)

 『新樹の言葉』166p。「花燭」「愛と美について」(再読)。


20211224

2021年12月24日
 晴後曇。5℃~13℃。


 『悪魔の詩 下』305p。Ⅷ 割れたアラビア海 Ⅸ 魔法のランプ

 『新樹の言葉』106p。「秋風記」「新樹の言葉」




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